『林修の「今読みたい」日本文学講座』あらすじ・感想まとめ|今読む理由をわかりやすく解説

読書
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はじめに:なぜこの本を今読む価値があるのか

テレビや予備校で「国語のカリスマ講師」として知られる著者が、その知識と情熱を注ぎ込んだ一冊。それが『林修の「今読みたい」日本文学講座』。現代文の授業だけでなく、10代から大人まで幅広く支持されてきた林先生が選んだ日本文学の短篇名作15作品を、やさしい解説付きで興味深く、楽しく読めるのが本書の最大の魅力です。

読書好きはもちろん、「文学なんて難しい……」と感じてきた人にも門戸を開くスタイルが魅力。そしてこれは、ただの名作アンソロジー以上の意味を持つ、いわば“林修流・文学教室”。

私自身、昔から太宰や芥川は読んできたけれども、内容について深く考えたりはせず、自分なりの感想も具体的には・・・。付属の解説も難解でいまいち共感できない。しかしこの本を読んだ時、「ああ、これなら日本文学の古典にちゃんと触れられるんだな」と感じたんです。
この記事ではこの本のあらすじ(収録作品)、特徴、魅力、そして私なりの読後感を整理しました。

本書の基本情報と背景

書籍データと著者紹介

  • タイトル:林修の「今読みたい」日本文学講座
  • 著者/編著:林 修(現代文講師、東進ハイスクールなどで活躍)
  • 出版社:宝島社
  • 初版刊行:2013年10月
  • ページ数:319ページ(初版)

林修先生は、予備校の現代文講師として非常に知名度が高く、受験指導だけでなく「読書を通じて考える力をつけてほしい」というメッセージをテレビや講演でも発信しています。

収録作品(あらすじと構成)

本書に収められているのは8人の作家/15作品の短篇小説。林先生の解説が各作品に付いており、作品を読む手がかりとして非常に親切です。

収録作品と簡単な紹介

作家 収録作品 あらすじ・ポイント
宮沢賢治 『注文の多い料理店』 山奥の山で迷った二人の紳士が、不思議な料理店に招かれる…幻想的で寓話性の高い作品。
夏目漱石 『夢十夜』 10夜分の夢を綴る短篇集。それぞれが異なるテーマを持ち、幻想・哲理・切なさを孕んでいる。
芥川龍之介 『蜜柑』『猿蟹合戦』『教訓談』 日常の中の小さな変化や寓話的な再解釈、道徳をめぐる短篇群。
中島敦 『山月記』『悟浄歎異』『名人伝』 虎に変身した男の物語など、プライドと恐れ、自我との葛藤を扱う作品。
梶井基次郎 『檸檬』『桜の樹の下には』 象徴的なモチーフと静謐な詩情が印象に残る短篇。
志賀直哉 『小僧の神様』 子供と大人の関係、純粋さと責任が静かに描かれる。
横光利一 『機械』 会話の引用符がほとんどなく、読みにくさがあるが、社会と機械化をめぐる問いを込めた作品。
太宰治 『走れメロス』『猿ヶ島』 友情と信頼、犠牲をテーマにした代表作と、滑稽ながら根底に人間の弱さを感じさせる短篇。

この構成をみると、「王道」と「マニア心くすぐる」作品のバランスが良いと思いました。誰もが知っている太宰や漱石から、中島敦や横光利一のようなやや通向け作家まで。林先生、はとにかく自分の好きな作品、深く感銘を受けた作品選んだと本の中で言っています。

テーマと特徴 — なぜこの本はただの名作集ではないのか

テーマ性と選者の視点

  • 読みやすさと深さのバランス:15作品全てに林修先生の解説があり、内容の背景や読みどころを丁寧にガイド。
  • 文学入門にも教養にも:初心者が「読書の門を開く」きっかけにも、既に名作を読んでいる人が再解釈を楽しむきっかけにもなる。
  • 時代/作家の幅:近代日本文学の主要作家をカバーしている点が「今読みたい」名作としての説得力を生んでいる。

解説スタイルの魅力

  • 言葉がやわらかい:難解な専門用語を多用せず、“授業を聴いている感覚”に近い。
  • 振り仮名や注釈が読みやすさを支える編集。
  • 現代語への配慮:読みやすさを優先した編集がされている。
  • 時代背景への留意:古い表現について配慮しながら作品を提示している。

この本、文学入門書って言われると軽く響くかもしれませんが、侮れない。林修先生の“教える”力と“読ませたい”思いが混ざっていて、ただ名作を読むだけじゃなく“読み方”を一緒に学べ、”解釈”を一緒に考え、比較することができる。自分が講師と対話しながら読んでいるような気分になる。それが私にはとても新鮮でした。

読者対象・魅力 — どんな人に向いているか

読書初心者からライトな文学ファンまで

短篇ばかりなので、気軽に読み始めることできる点が初心者には嬉しい。教科書で名前は知っていても読む機会がなかった人にも向いていますね。

読書/学びを“エンタメ”として楽しみたい人

予備校講師の語り口で読む文学は授業感覚で読み進められ、敷居が下がる。読書仲間や学び仲間と本書を共通言語にして読書会を開くのもおすすめ。

個人的には、「読書や文学に、ちょっと興味はある」というタイプの人にすごく刺さる本。私の場合は、たまたま、読んだことのある作品が多く購入には少しためらいがありましたが、作品について、一緒に考える、わかりやすく解説してくれるこの本が手元にあると「古典文学に興味深く楽しんで触れることができる」と希望が持てる。そういう意味で、本書は読み物としてだけじゃなく、“入口”としても価値が高いと思います。

感想・評価 — 実際に読んでみて

本作の読書感想

最初は「注文の多い料理店」。子ども時代に読んだ宮沢賢治の作品を、林先生がこんなふうに説明するんだ、と感じながら読み進めた。森の描写、料理店の空気、二人の客という構成。かつては何となく読んできた内容に林先生の解釈が伴うことで、新しい感覚で引き込まれていく感じが、先生の解説と相まって印象的でした。

次に読んだのが横光利一の「機械」。正直最初は読みにくさに戸惑った。段落が細かく区切られていないし、会話の中に「」がほとんどない。何度も息継ぎが必要になった。しかし林先生の後解説のおかげで、これは機械化が進む社会を象徴するような文体ということの納得と、読み終わった時には作品そのものがテーマを体現しているとかろうじて腑に落ちた感じ。自分だけではとても理解の及ばない作品です。

最後に「走れメロス」。これは何度読んでも胸が熱くなる。林先生の解説も、「信頼とは何か」「友情とはどういう犠牲を伴うのか」といった本質的な問いを投げかけてくれます。

他の読者の声

読者の感想は分かれているようです。解説をもっと詳しくしてほしいという声もある一方、入門書としてちょうど良いという評価もあります。昔の文章が読みにくいと感じていた読者が、林修の解説で乗り越えられたという意見については、私も全く同感です。

評価が分かれるのは当然かもしれません。文学を“楽しみたい”人と“学びたい”人の両方を相手にしているから、解説が物足りないと感じる人もいるのでしょう。でも私は、それがこの本の強みだとも思います。「読み方のヒントをくれて、自分でも考えさせてくれる」。そんな本ですね。

他の本との比較・関連書籍

普通のアンソロジーだと作品だけ収録されていて解説は簡素、もしくは人によっては難解だが、本書は「解説つき文学集」としての立ち位置が強い。評論やエッセイ形式の入門書と比べて、短篇そのものを読む実践と解説で学べる点が特徴です。

読んだあとに得られるもの・活用シーン

  1. 読書習慣のスタート地点:短篇が中心なので、まとまった時間が取れなくても読み進めやすい。
  2. 読書会・ブッククラブの題材:15作品+解説があるので、読書会で議論する材料にちょうどいい。
  3. 国語(現代文)の学び直し:学校で学んだ読解力をもう一度鍛える際の教材としても使える。
  4. リフレクション・人生観の問い直し:「走れメロス」「山月記」などは価値観を見つめ直すきっかけになる。

まとめ — この本をおすすめしたい理由

やさしく名作に触れたい人にホントに最適。初心者でも安心して手に取れる一冊であり、名作を再読・再解釈したい人にも発見がある。読書を学びや経験に変えたい人に特におすすめしたいです。

私自身、読んで本当によかったなと思っている一冊です。特に、「読んだことはあるけど、改めて再読まではなあ」と思って遠ざけていた作品、作家群でしたが、ちゃんと踏み込んでみたらこんなに面白いんだ、という驚きがありました。読後、自分の中に“お気に入りの一篇”ができるだけでも、大きな収穫だと思いますよ。そこから好きな作家を見つけ、他の作品に手を伸ばすきっかけとするのも大変良いと考えます。

ぜひ、手に取ってみてください!

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