はじめに：なぜ「書く習慣」なのか
文章を書くのが苦手。頭の中ではいろいろ考えているのに、言葉にならない。
そんな人にとって、いしかわゆきさんの『書く習慣』は、「うまく書く」ではなく「書けるようになる」ための最初の一歩を示してくれる本です。
本記事では、
-
あらすじ
-
著者
-
テーマ
-
感想・評価
-
他作品との比較
の5つを軸に、『書く習慣』の魅力を丁寧に紹介します。
あらすじ｜『書く習慣』は“書く”ことを特別ではなく、日常的な行為に変えてくれる本
『書く習慣〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』は、文章術のハウツー本ではありません。
“書くこと”を「習慣」にするための心の整え方や実践法を、わかりやすく・具体的に教えてくれる一冊です。
本書の章構成は以下のとおりです。
-
言葉と仲良くなれば書けるようになる
-
習慣になれば書くのが楽しくなる
-
ネタを見つけられると止まらなくなる
-
ちゃんと伝わると嬉しくなる
-
読まれるともっと好きになる
-
「書く」ことが与えてくれるもの
冒頭から、「書けないのは才能がないからではない」と断言します。
著者は“書けない”という悩みを、「書くことに慣れていないだけ」と位置づけます。つまり、書く力はセンスではなく慣れ、だと。
この発想が、本書を単なる「テクニック本」ではなく、“書き続けること”に焦点を当てた一冊にしています。
そして特徴的なのは、「何を書くか」より「書くことを楽しむ」ことに重きを置いている点。
日常で感じたこと、SNSでのつぶやき、メモ書きでもいい。
「書こう」と意識しすぎず、“書くことを生活の一部にしてしまう”という考え方です。
文章力を磨くというより、“言葉と仲良くなる”ことを目指す。
この感覚が、本書を“励ましの書”のように読ませます。
私はこれを読んで、「文章を書けない」という思い込み、苦手意識が少し軽くなりました。
“完璧に書こう”とする前に、“まずは下手でもいいから書いてみよう”という気持ちになれる。
これこそが、いしかわさんの言う“習慣”の第一歩なのでしょうか。
著者｜いしかわゆきという“書くことを続けてきた人”
『書く習慣』の著者・いしかわゆきさんは、フリーライターであり、編集者でもある書き手のプロフェッショナル。
早稲田大学文化構想学部文芸・ジャーナリズム論系卒。
「新R25」編集部で編集・執筆を経験し、その後独立。
現在はnoteやSNSを中心に、等身大の言葉で“書くことの楽しさ”を発信しています。
彼女の文章は、理論的というより感情に寄り添うタイプ。
「頑張らなくていい」「好きなことを書けばいい」といった言葉が多く、読む人の肩の力を抜いてくれます。
『書く習慣』というタイトルも、彼女自身の実体験に根ざしています。
ライターとしての仕事を始めた当初、いしかわさんも“書けない日”が続いたこともあるそう。
その中で見つけた答えが、「気分ではなく、習慣にする」こと。
つまり、“やる気”に頼らない仕組みづくり。
この発想は、どんな職業の人にも通じる考え方です。
著者が実際に“書くことで人生を変えてきた人”だからこそ、読者に届く説得力があります。
「努力家というより、“生活者として書く人”」という印象。
無理をしていない文体と、現実的な視点が信頼できる。
“書く習慣”というタイトルが、著者そのものを表しているように感じました。
テーマ｜“書く”を通して、自分と仲直りする
本書の一番のテーマは、「書くことで、自分と向き合う力を取り戻すこと」。
書く行為は、誰かに見せるためではなく、自分を知るための作業だといしかわさんは言います。
「書くことで、自分が何を考えているのかが見えてくる。」
この考え方が、全編を通して流れています。
そしてもう一つのテーマは、「完璧主義からの脱出」。
多くの人が“ちゃんと書こう”として、最初の一文が出てこない。
それに対して、いしかわさんはこう語ります。
「まず書いてしまえば、そこにしか見えないことがある」
つまり、「上手に書く」ことではなく、「書くことそのものを続ける」。
そこに意味がある。
この考え方は、文章だけでなく人生の姿勢にも通じます。
“続けること”“自分を整えること”が、結果として文章を変え、日々を変えていく。
「文章力＝自分力」だと気づかされました。
私たちは文章を書こうとするとき、いつの間にか“他人の目”を気にしている。
でも『書く習慣』は、“自分と向き合う時間を作ること”こそが書く目的だと教えてくれる。
それがこの本の一番の主題ではないか。
感想・評価まとめ｜「才能がなくても、書いていい」と背中を押してくれる本
多くの読者がこの本を読んで、「自分にも書けるかも」と感じたとレビューしています。
たとえば楽天ブックスやAmazonレビューでは、
-
「書くことへのハードルが下がった」
-
「毎晩ノートに3行だけ書く習慣を始めた」
-
「“うまく書けない”という悩みが軽くなった」
という声が目立ちます。
一方で、「技術的な文章指南を期待して読むと少し物足りない」という意見もあります。
確かに、『書く習慣』は“上手く書く”方法よりも、“書く気持ちを取り戻す”ことに焦点を当てています。
だから、「書けないことに悩む人」ほど効く。
「文章をもっと磨きたい人」よりも、「まず一歩踏み出したい人」に向いている本です。
読後の実感
私自身、ブログを始めてから「書けない日」に罪悪感を持っていました。
でもこの本を読んでからは、“1行でもいいから書く”を意識するようになりました。
『書く習慣』は、文章の上手さを磨く本ではなく、書くことを“好き”に変えてくれる本です。
「続けることが一番の才能」という言葉が、今も頭に残っています。
読後には、“また書いてみようかな”という確かなモチベーションが自然と湧いてきました。
比較｜他の文章術本との違い
同じ「文章の書き方」を扱う本は数多くあります。
それらが「どう伝えるか」「どう表現するか」という“技術”を教えるのに対し、
いしかわさんの『書く習慣』は、“どう続けるか”に特化しているように思います。
つまり、本書は“スキルの本”ではなく、“メンタルの本”。
ここが大きな違いです。
また、『書く習慣』は女性の書き手ならではの優しさがにじんでいて、
理屈よりも“寄り添い”で背中を押してくれるタイプの本。
なので、個人的には、読みながら「よし、書くぞ」とか「頑張ろう」とかいうよりも、
「まあ、ゆっくりでいいか」と思わせてくれるように感じました。
いしかわさんの言葉には、静かな説得力があります。
比較してみると、この本は“頑張らない文章術”という新しいポジションに立っているのではないでしょうか。
まとめ｜“書くこと”を日常に戻す一冊
『書く習慣』は、
「書きたいのに書けない」
「言葉にできない自分が嫌になる」
そんな人のための本です。
文章が上手になるよりも前に、
「書くことを好きになる」「続けられる自分になる」——
その感覚を取り戻させてくれる。
この本を読み終えた後、すぐに行動できるヒントはたくさんあります。
-
朝の5分を「書く時間」にする
-
書いたことをSNSに1つだけシェアしてみる
-
思ったことをスマホメモに残す
完璧じゃなくていい。
“書くことをやめない”ことが、すでに“書く習慣”なのです。
「うまく書こうとしなくていい」——この言葉に救われた人は多いはず。
本書は、“文章”に悩むすべての人が「自分の言葉を信じていい」と思えるようになる、ささやかだが、確かな、羅針盤のような一冊です。
コメント